ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「結婚…相手?」

「ええ、まぁ、この人って決めた訳じゃないけど
支援者の方々から
是非、娘を…孫を…って
言ってもらってるの

いずれは
その中から
淳君に選んでもらうつもりよ」


そんな…
そんなことって…


私の知らない大人の事情…
返す言葉が見つからなくて
グッと、歯を食いしばる。


「単刀直入に言うわね。
淳君と別れてほしいの。
私が言っても
あの子、全然聞いてくれないし
あなたの方から別れるって言ってもらいたいのよ」

「あ…でも」

「ここまで言っても分からないの?
淳君の将来がかかってるの
あの子の未来を潰すつもり?」


今にも私に掴みかかりそうな勢いの
お母さんを見て
なんて自分勝手な人…
そう思った。


けど、変な話しだけど
私は母親の愛情を感じてたんだ…


きっと、この人は
上杉君のことが心配で仕方ないんだ…


上杉君にとったら
鬱陶しい愛情かもしれないけど
上杉君の将来を考えてのこと
これが親なんだ…


親…なんだ…


私には一生、感じることのできない愛情…


私なんかが
上杉君の側に居ちゃいけないのかな…
それに
伯父さんのことも…


12年間、血の繋がらない私を
我が子の様に育ててくれた。
あんなに優しい伯父さんに
迷惑はかけられない…


自ずと、私の選択枠は限られていく


私の我がままで
皆を不幸にはできない…


決断の時…




「…分かりました…
上杉君と、別れ…ます」


力が抜けた様に
背もたれに深くもたれ掛かり
安堵の表情を浮かべるお母さん。


「あの…一つだけ…
お願いがあるんですが…」

「何かしら?」

「明日で私たち3年は
卒業式まで学校は休みになります。
だから…
最後に一度だけ…
上杉君に、お母さんの手作りのお弁当
作ってあげてくれませんか…?」

「お弁当?」

「上杉君、本当は
お母さんの作ってくれたお弁当食べたいんです。
甘い卵焼きが入ったお弁当…
お願いします。

このお願いをきいてくれたら
私、上杉君と別れます。
約束します」














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