ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
上杉君に
あんなこと言ったばかりだからかな…
なんとなく
聖斗を意識しちゃってる…
でも、聖斗には好きな人がいる。
もう私と聖斗は
男と女じゃない。
ただの同居人のイトコ
私が上杉君と付き合ってた時だって
なんの興味も示さなかった。
どうでもいい存在なんだろうな…
浴槽に頬を乗せ
揺れる聖斗の影を
ぼやり見つめている時だった。
不意にドアの向こうから声がする。
「美羅、大丈夫か?」
「……」
「美羅?」
「…ねぇ、聖斗…
私にそんなに優しくしなくていいよ…」
「はぁ?何言ってんだ、お前」
「私なんか
これと言って、なんのとりえもないし
皆に迷惑かけて生きてるだけ…
聖斗に親切にしてもらう資格なんかない…
ハァ~…
なんか…疲れちゃったな…」
聖斗の返事がない…
聞こえなかったのかな
それとも呆れて言葉もないのか…
特に深く考えることもなく
少しのぼせた感じがしてきた私は
そろそろ体を洗おうと立ち上がった。
その時だった…
バターン!!
「美羅!!」
「へっ…?」
うそ…うそ…うそ…
「キャーーーー!!」
突然開いたドア
私は慌てて湯船に浸かったけど
見られた…絶対、見られた…
「聖…斗…ヒドイ…」
半泣きで訴える私に
聖斗は真顔で近づいてくる。
「バカなこと言うな!」
「バカなことって…何?」
恥ずかしくて
すっかり舞い上がってる私は
聖斗の言う
"バカなこと"がなんのことだか分からない。
「今、言ったろ!
疲れたってなんだよ?
それって、死にたいってことかよ?」
「聖斗…」
「答えろ!美羅!」