ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「もう、2人とも
こんな時間までご飯食べないで何してたの?」
伯母さんは呆れながら
温め直した土鍋をテーブルの上に置く。
「わっ!!
おでん、美味しそう」
「早く食べちゃってよ」
少しお酒が入ってるのか
伯母さんは虚ろな目をしてる。
聖斗の席は私の真向かい
でも、今日は私の隣に座ってた。
テーブルの下
不意に触れた聖斗の手が
私の指をなぞり
交互に絡めてくる…
心臓が、キュンと
嬉しい悲鳴を上げた。
伯母さんに見つからないか
ヒヤヒヤしながら
横目で聖斗を見ると
悪戯っ子みたいに
ニヤリと笑ってる。
聖斗でも、こんなことするんだ…
「でも、もうすぐ美羅ちゃんも
居なくなるのよね…
寂しくなるわ」
伯母さんの言葉に
ハッとする。
そうだ…
もうすぐ私は、この家を出る。
聖斗と距離を取りたくて
遠くの大学を選んだことを
今更ながら後悔してしまう…
「…大学…行きたくないな…」
沈んだ声の私とは逆に
聖斗は明るい声で「バーカ!」とか言ってくる。
「苦労して受かったんだろ?
ちゃんと行けよ!
大学は面白いぞ!
学食は結構旨いし
割と自由だし」
「まぁ!聖斗!そんなこと言って
あなた、ちゃんと勉強してるんでしようね?」
ムッとした伯母さんが
口を挟む。
「それなりにしてるさ」
「まったく、この子は…」
なんか、微笑ましいな…
親子の会話。
「そうだ!美羅。
明日俺の大学に連れてってやるよ。
学食、食わしてやっから
どうせ休みで暇なんだろ?」
「えっ…いいの?」
「あら?
どうしちゃったの?
今日はやけに仲がいいのね…」
伯母さんが不思議に思うのも無理ない。
昨日まで
ほとんど口を利かなかったもんね。
私と聖斗は
顔を見合わせ苦笑いするしかなかった。