ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「美羅、行くぞ!」

「はーい」


昨夜の約束。
聖斗の大学に連れてってもらえる。
私は朝から浮かれていた。


「せいとぉー、待ってー」


サッサと玄関を出て行く聖斗を追いかけ
ワザと体をぶつけると
聖斗の左腕に
自分の腕をまわす。


「んっ?」

「ダメ?」


甘える様に、上目遣いで見上げると
「仕方ねぇな…」と、呆れた様に笑う聖斗。


「ヤッター!!」


聖斗と腕を組んで歩いてる…
こんな日がくるなんて
夢にも思わなかった。


バスと電車を乗り継ぎ
1時間ほどで大学に着く


「ねぇ、聖斗。
聖斗の好きな可愛い人って…誰?」

「なんだよ…いきなり」

「だって、知りたいもん」


聖斗は頭をポリポリかきながら
バツが悪そうに横を向く。


「分かってんだろ…」

「分かんない」


すると聖斗は体をかがめ
私の耳元で囁く。


「今、美羅が頭ん中に思い浮かべた女だよ…」

「あ…」


私…今、それが自分だったらいいなって…
私のことだって思っていいの?


でも、嬉しさの反面
なぜハッキリ言葉にして言ってくれないのか
どうしても腑に落ちないでいた。


『好き』という一言を
聖斗は決して口にしてくれない…


「じゃあ、行くか…」


大きな校門に向かって歩き出した聖斗を
私は慌てて引き止める。


「ちょっと待って!後、5分だけ」

「5分?なんだそれ?」


(?)顔の聖斗の横で
私はニヤニヤしながら
ある人を待っていた。




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