ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「あー!!みらぁーお待たせー」


大きく手を振り
駆け寄ってくるショートボブの女の子


「もぉー、智可、おそーい!!」


息を弾ませながら
智可が何度も謝る姿を
聖斗はポカンとした顔で見つめてた。


私は昨夜、夕食後
部屋に戻ると
智可に電話したんだ…


上杉君のことを話したかったし
それに、聖斗のことも


明日、私が大学に連れてってもらうと言うと
智可も行きたいと言い出して
お兄さんにくっ付いてくから
待ち合わせしようということになった。


自分に気付かなかった聖斗を
ビックリさせてやりたいって
すっかりテンション上げてた智可。


「よう!聖斗」

「あ…雅史…」


初めて見る
智可のお兄さん


背が高くて彫りの深い顔
でも、目の感じが智可と似てる。


当たり前だよね…
兄妹なんだから


「どうなってんだよ…」


このサプライズを知らないのは
聖斗一人だけ


「コイツのこと覚えてるか?」


雅史さんに言われ
聖斗は智可の顔をマジマジと眺めると
突然、「あぁぁ!!」と、大声を上げた。


「ち…か?
あの、小生意気なガキだった智可か?」

「ご名答!!」

「もう聖斗君、ひどーい!
私のこと
そんな風に思ってたんだー」


ぷーっと頬を膨らませる智可に
「確か…美羅の友達じゃ…」
と、眉をひそめる。


「そうだよ。
聖斗君ったら、全然気付いてくれないんだもん
ショックだったー」

「ははは…」


笑って誤魔化してる…


やっと、全てを把握した聖斗は
自分だけが知らなかったことに
少々、オカンムリ


「お前ら、性格悪すぎだぞ」

「ごめん、ごめん」


スネた聖斗を尻目に
私たちは
校門へと向かって歩き出した。


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