ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

大学って広い。
大きな建物の間には
石畳の道が続き
両脇には木々が立ち並ぶ


「聖斗の薬学部はA棟
俺の医学部はB棟だから
ここで別れるよ」


そう言って
雅史さんは軽く右手を上げ
建物に方に歩いて行く。


「俺の講義は11時には終わるから
それまで、その辺ウロウロしてろ」

「えーっ!案内してくれないの?」

「甘えるな!
おのぼりさんじゃねぇんだ」


聖斗もそう言うと
サッサと行っちゃった…


まだ、さっきのこと怒ってる?


取り残された私と智可


「まったく、聖斗君たら
美羅のこと誘っといて
何?あの態度」

「うん…」


仕方なく私たちは
校内案内図を眺め
「カフェ」と記された場所に急ぐ。


日差しは暖かかったけど
風が異常に冷たい。
とても外でなんて待ってられない。


意外と本格的な店内に驚きながら
窓際の席に着き
暖かいミルクココアを注文した。


「で、上杉君とは
ホントに別れたの?」


前置き無しで聞いてきた智可に
私はコクリと頷き
上杉君のお母さんのことも話した。


「そっかー…
それって、キツいよね…
美羅、辛かったね」

「仕方ないよ…
私は親も居ないし
上杉君とは、つり合わない…」

「美羅…」

「心配かけてごめんね。
大丈夫だから…」


すると智可は
急に身を乗り出し
意味深な笑みを浮かべ
小声で話し出した。


「聖斗君と付き合うの?」

「あぁ…うん。
でも、いまいち聖斗の気持ちが分かんなくて…」

「ふーん。
じゃあ、シちゃったら?」

「え゛?」

「体の相性って大切だよー」


どうしちゃったの?
いつもの智可じゃないみたい…






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