ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

その日の夜
またあの夢を見た。


闇の中
一筋の光を見つけ
歩き出す私。


二つの人影が、手招きしてる…


「ママ?パパ?」


人影に向かって走り出すけど
それは、どんどん遠ざかり
やがて、闇の中へと消えていく…


すると、右手に冷たい感触
視線を落とすと
そこには
病院で触れたママの赤く染まった手…


いつもここで目が覚める。


体中、汗だくで
恐怖と悲しみで
涙が溢れ出す。


「こわ…いよぅ…」


昨日までは
隣に寝ていた伯母さんの手を握り締め
気持ちを落ち着かせていたけど
今日は一人…


私は耐えきれず
抱き枕のカエルちゃんを抱え
部屋を出た。


まだ明かりが漏れる部屋のドアをノックする。


「はい。誰?」

「優斗…美羅だよ…」

「美羅?」


ドアが開いた瞬間
カエルちゃんを投げ捨て
私は優斗の足にしがみ付き
声を殺して泣く。


この泣き声を
伯母さんに聞かれたくなかったから…


心配かけるのがイヤだったのもあるけど
気付かれたら
伯母さんのとこに連れられてしまう…


私は、優斗と居たかった。


「どうした?」

「…怖い夢見た…
優斗と居たい…」

「そうか…おいで」


優しく私を部屋に招き入れると
優斗は自分のベットに
私を寝かせる。


「今日は、ここで寝ていいよ」

「優斗も一緒に寝てくれなきゃイヤだ」


呆れた顔をした優斗が
ゆっくり布団に入ってくると
私は優斗の胸に顔を埋め
彼のパジャマを
ギュッと、握り締めた。


優斗…ずっと、美羅の側に居てね…






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