ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

学食はホントに美味しかった…
でも、無神経な聖斗のせいで
気分は最低。


私と聖斗の間に入って
智可は右往左往してる


「ねぇ、美羅もそんなに怒んないの!
ちょっと話してただけじゃん。ねっ!
聖斗君も、美羅と付き合ってるのに
他の女と親しげにしないでよ」


すると、聖斗がオムライスを食べる手を止めた。


「俺と美羅は
付き合ってねぇぞ…」

「えぇっ?」


声を上げたのは智可
私は声も出なかった…


「そんなはずないよね…
だって…違うの?」

「まったく…智可は…
早とちりもいいとこだ…」


そう言って、残りのオムライスを
ほうばる聖斗


そうなんだ…
聖斗は、そんな気なかったんだ…
私一人がバカみたいに浮かれてた。


だから「好き」って言ってくれなかったの?
だから私から
目を逸らしたの?


だったら、なんであんなこと言ったの?

"興味無いワケない…"

"俺は、ずっと美羅のこと…"

好きな子の名前を言わなかったのも
そのせい?


私がフられて
落ち込んでたから?

死にたい…みたいなこと言ったから?


何もかも
全部…うそ?


スプーンを持つ手が震えて
お皿をカタカタ鳴らす。


「聖斗君、酷いよ!
美羅は聖斗君のこと…」

「もういいよ。智可…」

「美羅…」

「もういい…
ホントに、いいから…」


同情を愛情だと勘違いした自分が
情けない。


涙を堪え、視線を上げると
聖斗の無表情な顔が目に映った。


私と居る時は
いつもそんな顔するね…
さっき、大木さんと話してた時の笑顔を
私にも見せてほしいのに…


私じゃ、ダメなの?

聖斗…


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