ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

また、前に逆戻り…


聖斗は普通に接してくれたけど
私は聖斗をなんとなく避けていた。


智可は自分が言った言葉に責任を感じて
毎日のように電話をくれた。


智可のせいじゃない…
自惚れてた私が悪いんだ。


私は大学に行く準備に没頭して
あえて聖斗のことを考えない様に心がけたりして…
虚しい日々を送っていた。



そして
聖斗の大学に行った日から
5日ほどたった夜のことだった…


今日も眠れない…


ベットに入ったのは1時を過ぎていたのに
もう、30分近くウダウダしてる。


シーンと静まり返った薄明かりの中
微かな物音が耳に届いた…


カチャ…


部屋のドアが静かに開く…


えっ?誰?


咄嗟に目を閉じ
眠ってるフリをした。


絨毯の上を歩く擦れる様な音


近寄ってきた人影が
ベットの横で止まった。


ドキドキドキ…


少しの間、動く気配がしなかったが
不意に頭を撫でられた。


「……!!」


その感じから
聖斗だと、すぐに分かり
私は複雑な気持ちのまま
眠ってるフリを続けたんだ…


大きな手のひらが
何度も私の髪を撫で
やがて、頬に触れる。


何考えてるの?聖斗…


聖斗のため息が
私の前髪を揺らした…


そして…額に、柔らかく暖かい感触が…


まさか…今の…キス?


目を開けたいという衝動に駆られたが
必死で気持ちを抑えた。


今、ここで目を開ける勇気が無かった。


聖斗は私のことなんて
好きじゃないのに
どうしてキスなんてするの?


頭の中が混乱して
訳が分かんない…








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