ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

聖斗の片方の眉毛が
ピクッと、動いた…


ドカッ!!


「その、上杉ってヤツと
俺じゃあ、抱えてるモノが違うんだよ!」


聖斗は低く響く声でそう言うと
ベットに座る私の体を
壁に押し当てた。


「せい…と」


聖斗の両手の指が
私の肩に食い込み
更に力が入る。


「いいか、美羅。
よく聞け!
俺は、ガキの頃から
ずっと美羅を見てきた。

親が死んで、一人ぼっちで
辛い思いしてきた美羅が可哀想で
なんとか幸せにしてやりたい…
そう思ってきた。

でも、それが出来るのは俺じゃねぇ…
だから俺は
自分の気持ちを必死で押えてきた…

美羅が幸せになる為だと思ったら
男が居るって分かっても
知らん顔することできたよ。

でもな…
雨の中、ずぶ濡れになって
泣いてた美羅を見たら
我慢できなくなった。

放っとけなかったんだよ…」

「聖斗…」

「お前が俺の本当の気持ちを知りたいって言うなら
教えてやってもいい…」


聖斗の瞳がキラキラ光ってる…
それは…涙なの?


「でも…それを言ったら
俺は、もう…
止められねぇぞ!
それでもいいんだな!」


聖斗の迫力に圧倒され
何も言えない…


「どうなんだ?美羅!!」


聖斗は、いったい何を
そんなに恐れているんだろう…


自分の気持ちを伝えることに
これほどまでに罪悪感を持つのは
なぜなんだろう…


でもね、聖斗…
私は、それでも
あなたの気持ちが知りたい…


どうしても知りたいんだよ…


「聞かせて…」


私の返事を聞いた聖斗は
目を閉じると
呼吸を整え、下を向く
そして
優しい声で言ったんだ…


「俺は…ずっと…
美羅のことが…
好きだった…
ずっと、ずっと…好きだったよ…
今も変わっちゃいない」






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