【童話シリーズ第2弾】人魚姫
人魚姫の王子様への気持ちは、今になってどんどん強くなっていきました。
「ぼくは今もあなたを愛している。だけど、もうお別れだ。明日、隣の国の王女との結婚式がある」
人魚姫は悲しみに明け暮れました。
王子様が王様と女王様にお話をしてくれたお陰で、人魚姫は地下牢に行かなくてもよいことになりました。
しかし、お城にいる事はできません。
人魚姫は王子様が結婚する明日の晩が明けたら、海の泡になってしまいます。
ああ、王子様。
もう後には戻れません。
なにもかもおしまいだわ。
人魚姫は思いました。
次の日、王子様と隣の国の王女様との結婚パーティーが盛大に開かれました。
あの嵐の日と同じように、船の上はにぎわっています。
お祝いはいつまでも続きました。
みんなが笑って、楽しそうな音楽が響いていました。
教会の鐘も鳴りました。
けれども、人魚姫には何も聞こえませんでした。
寂しい海の底で生きる事だけを考えていたのです。