【童話シリーズ第2弾】人魚姫


夜遅くまでお祝いが続いたあと、王子様は隣の国の王女と一緒に船の中の寝室に入って眠りにつきました。



そして、船の上はからっぽになりました。



人魚姫だけがひっそりと立っています。



もうすぐわたしは泡になるんだわ・・・



胸の奥で言ったとき、人魚姫は海の上にお姉さまたちを見つけました。



「魔法使いにナイフをもらってきたわ」



「代わりに長い髪の毛をとられたけど」



「このナイフで王子を殺しなさい」



「王子を殺せば、あなたはもとの姿に戻れるのよ」



「日が昇る前に、急いで」



きれいな長い髪をなくしたお姉さまたちは口々に言って、人魚姫にナイフを渡しました。



人魚姫はナイフを握り締めて王子様の部屋に入りました。



王子様は王女と一緒に幸せそうに眠っています。



人魚姫はナイフをふりかざしました。



けれど、手も心も震えるばかりです。



人魚姫はナイフを握り締めたまま、涙を流しました。


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