【童話シリーズ第2弾】人魚姫
「わたしはどうなったのかしら」
人魚姫はつぶやきました。
声を取り戻したのです。
「あなたは風の娘になったのよ。さあ、わたしたちと一緒にいきましょう」
透き通った美しい声が人魚姫の周りでこだましました。
人魚姫の周りの美しいものは風の娘だったのです。
風の娘は風や光と一緒に世界中を飛んでいきます。
人魚の寿命よりも遥かに長い間飛び続け、いいことをたくさんしなければなりません。
「いいことをたくさんした後で、わたしたちは魂を授かるのよ」
風の娘は言いました。
船の上ではみんなが人魚姫を探していました。
誰一人、風の娘になった人魚姫を見ることはできません。
人魚姫は大好きな王子様に微笑みかけてキスをし、王女にもキスをしました。
そしてふわりと青空に舞い上がり、仲間たちとともに空の向こうへ飛んでいきました。
魂を授かったその時には、またみんなに出会えることを願いながら。
-END-