【童話シリーズ第2弾】人魚姫
しっぽがないのに泳げるのかしら?
それに、足ってどんなものなのかしら?
お花に香りがあるなんて、本当なのかしら?
海の底にも花はありますが、香りなんてありません。
小鳥はどうやって空を飛ぶのかしら?
どんな声で歌うのかしら?
人魚姫は、お姉さまたちの話をわくわくしながら聞きます。
そしてその度に、人間の世界への憧れで胸をいっぱいにさせるのでした。
「早く15になって海の上へ行ってみたい」
人魚姫がつぶやくと、お姉さまたちは決まってこう言うのでした。
「もうすぐよ。あなたも15になってたくさんのものを見にいけるわ」
とうとう末の人魚姫は15の誕生日を迎えました。
「いってまいります」
嬉しさで顔のほころびを隠せないまま、人魚姫は海の上に浮かび上がりました。