【童話シリーズ第2弾】人魚姫
小さな人魚姫が見たのは、うすい青に染まった空と輝きはじめた星です。
静かな海には、大きな船が1つ浮かんでいました。
人魚姫は船に近づいて、乗っている人々を見ました。
そして、響いてくる音楽を聴いていました。
船の上では、王子様の誕生祝いが開かれていたのです。
人々にかこまれた王子様楽しそうに笑っていました。
「なんてきれいな人かしら」
人魚姫は若い、美しい王子様に見惚れました。
真夜中になると、船の明かりは消え、人々も王子様も見えなくなりました。
けれど人魚姫は王子様のことが忘れられず、船から離れることができません。
いつのまにか嵐が近づいていました。
海の底はごうごうとうなって、そらはさっきとはうって変わって黒い雲でいっぱいです。
船は波の動きに合わせて、ぐんぐんとはしり始めました。
もう一度、王子様が見たい。
そう思った人魚姫は船と一緒に泳ぎます。
物凄い風が吹き、雨もざあざあと降ってきました。
「大変だ、船が沈むぞ!」
人々が叫びました。