【童話シリーズ第2弾】人魚姫
自分が少し教会を見ている間に人魚姫がいなくなったものだから、王子様はびっくりです。
「あの娘はどこに行ったのだ」
そして王子様は、また気を失いました。
人魚姫はその様子をずっと岩陰から見ていました。
王子様は気を失ったあと、教会から出てきた隣の国の王女様と召し使い達に運ばれていきました。
人魚姫は寂しさを胸に海の底へ引き返すのでした。
それからというもの、人魚姫は毎日海の上に浮かんで、王子様のお城の近くに行くようになりました。
そして、毎晩窓辺から顔を出す王子様を見つめるのでした。
王子様を見るたびに、人魚姫の胸は火のように熱いものでいっぱいになります。
王子様が大好きだわ。
もっとそばにいきたい、一緒に暮らしたい。
いつしか、人魚姫は激しく願うようになりました。
けれど、2本の足の代わりにしっぽをつけている人魚は、人間の世界に行くことは出来ません。
「ああ、人間の娘になりたい」
人魚姫は深い溜め息をつきました。