【童話シリーズ第2弾】人魚姫
「人魚と人間はどこが違うのですか」
ある日、人魚姫は母親である人魚の女王様に聞きました。
「1番の違いは、人間が魂を持っているということなの。わたし達人魚は人間の何倍も生きることが出来るけど、魂はありません」
「どうしたら魂がもてるの」
「人間に愛されて、結婚すればもてますよ」
女王様は笑っていいました。
「でも、人間は人魚と結婚しようとは思いません。足の代わりにしっぽを付けているわたし達を、不思議な生き物だと思うだけですよ」
「どうすればしっぽの代わりに足を付けることが出来るのかしら」
人魚姫は尋ね続けます。
「魔法使いに頼めば出来るわ。でもね、人魚のほうがずっといいのよ。2本の足が欲しいなんて思ってはいけないよ」
女王様は念を押すように、人魚姫に言いました。
王子様のそばで暮らしたい。
考え続けて、人魚姫はとうとう魔法使いの家に行きました。
「しっぽの代わりに2本の足を付けてください」
人魚姫が頼むと、魔法使いはぞっとするような声で言いました。
「2本足になったら2度と人魚には戻れないんだよ」
「構いません。わたしは王子様と同じものになりたいのです」
魔法使いは人魚姫を見て意地悪そうに笑いました。