【童話シリーズ第2弾】人魚姫
「お前は王子のために何もかもを捨てると言うんだね」
人魚姫は寄ってくる蛇達をよけながら、震える声で、
「はい・・・」
と言いました。
「いいだろう、薬をつくってやる。でも王子と結婚出来ないと、海の泡になって溶けてしまうよ。お前が王子を裏切ったその時も、泡になってしまうだろう。それからもう1つ。薬のお代にお前の声をもらわなければならない。それでもいいのかい」
魔法使いの言葉に人魚姫はもう一度、
「はい」
と答えました。
そして、薬をもらった人魚姫はお城に戻りました。
さようなら、お姉さま。
お母様も、お父様も、さようなら。
人魚姫は悲しそうに心の中で叫びました。
薬をくれた代わりに、魔法使いは人魚姫の声を奪いました。
美しく、かわいらしかった声はもうありません。
海の底に別れを告げ、人魚姫は浮かび上がりました。
そして王子様のお城のそばまで行くと、薬を一気に飲み干しました。