【童話シリーズ第2弾】人魚姫


「お前は王子のために何もかもを捨てると言うんだね」



人魚姫は寄ってくる蛇達をよけながら、震える声で、



「はい・・・」



と言いました。



「いいだろう、薬をつくってやる。でも王子と結婚出来ないと、海の泡になって溶けてしまうよ。お前が王子を裏切ったその時も、泡になってしまうだろう。それからもう1つ。薬のお代にお前の声をもらわなければならない。それでもいいのかい」



魔法使いの言葉に人魚姫はもう一度、



「はい」



と答えました。




そして、薬をもらった人魚姫はお城に戻りました。



さようなら、お姉さま。



お母様も、お父様も、さようなら。



人魚姫は悲しそうに心の中で叫びました。



薬をくれた代わりに、魔法使いは人魚姫の声を奪いました。



美しく、かわいらしかった声はもうありません。




海の底に別れを告げ、人魚姫は浮かび上がりました。



そして王子様のお城のそばまで行くと、薬を一気に飲み干しました。


< 7 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop