【童話シリーズ第2弾】人魚姫
それからというもの、王子様は人魚姫を妹のようにかわいがりました。
どんなときも人魚姫と一緒です。
そして人魚姫にとっても、夢のような毎日でした。
お城で舞踏会が開かれると、人魚姫は誰よりも軽やかに踊りました。
「もっともっと踊っておくれ。お前の踊りはまるで天使をみているようだ」
王子様が褒めると、人魚姫はますます美しく、見事に踊ります。
痛みを堪えて踊ったあとで、人魚姫の足はひどく腫れるのでした。
真夜中、王子が眠ったのを確認して人魚姫はお城を出ました。
冷たい水に足をつけて、痛みを治すためです。
人魚姫がひとりぼっちで足の痛みを堪えている時、お姉さまたちがやってきました。
「あなたがいなくなって、みんなが寂しがっているのよ」
お姉さまたちは人魚姫に話しかけます。
ずっと遠くには、お父様とお母様も人魚姫を見ていました。
「王子様はいつ、あなたと結婚してくれるの?」
お姉さまたちからの問いに、
いつかきっと・・・。
と、人魚姫は胸の奥で言いました。
けれど、お姉さまたちには聞こえません。
お父様もお母様も足の痛みを堪えている人魚姫を見守るばかりでした。