不器用な先輩



「あやっち?」


そういう哉斗先輩は、すごく心配そうに私を見つめていた。



哉斗先輩には悪いけど、名前は先輩に呼んで欲しかったし、

心配もして欲しかった。



そんな願いで先輩を見ると、久しぶりに目があった。


あっ、と思ったらすぐに逸らされ、すごく不機嫌そうな顔をしていた。



その時すぐに、私は迷惑な人間なんだと理解した。


もう、ここにいることが許されない人間だと。



< 104 / 187 >

この作品をシェア

pagetop