私(獣師)と、あいつ(神獣)
「・・・・・・・・・な。」
神獣は、驚き、弥生を凝視する。
弥生は、神獣を叩いた手をプラプラと揺らせ
「・・・・・・ねぇ、父さん。」
と、後ろで立ち尽くしている干支に声を掛けた。
「な・・・・なんだい?」
「そう思ってたより、心配する事は無いみたい。」
「え?」
弥生は、満面の笑みで振り向くと
「私、こいつ大っ嫌いだから!」
と、神獣を指さして言った。神獣は、ヒクリ、と顔を引き攣らせると
「て、め・・・っ!調子に乗んじゃねーよ。印も結べねー奴が。」
と、弥生の胸ぐらを掴む。弥生は、特に動じる事も無く
「・・・・印は、結べないんじゃなくて、結ばないの。先代達が、苦労の末作りだした、尊い印を、私情の為に使う訳無いじゃない。」
神獣を、真っ直ぐ見て言う。
「・・・・・・っ!」
神獣は、一瞬、動揺で瞳を揺らすと、
「っお前が俺の主だなんて認めねーよ。精々足掻きやがれ小娘。」
そう吐き捨て、弥生の胸倉から手を離すと、舌打ちをして、部屋から出て行った。