私(獣師)と、あいつ(神獣)
「・・・・胸焼け・・?・・・トンカツに、ソース掛け過ぎたかな。」
弥生は、自分の肌蹴た胸元を正し、そのまま布団に潜った。
・・・・明日から・・・・あいつと、ずっと・・・か・・。
自称・原因不明の胸焼けを感じながら、弥生は静かに瞳を閉じた。
―――――同刻・・・・
神獣は、弥生の家の庭に古くからある、太く高い木の幹に、座って月を見上げていた。
そして、自分の服を胸元までずらすと、そこにある神崎家の家紋を見つめる。
三匹の龍が、真ん中にある月を囲う様にし、その月の中には、赤い龍――炎龍が描かれていた。
「・・・・・・・・。」
《私、こいつ大っ嫌いだから!》
ふと、あの時言われた言葉が頭を過り、無意識に叩かれた頬へ手を寄せる。
「・・・・・っバカみてぇ・・・っ!」
無意識に動いた自分の手に気付き、振り払うと忌々しそうに舌打ちし、今度は睨み付ける様に、その深紅の鋭い瞳に月を映した。
「絶対、人間なんか・・・信じねぇからな・・・!」
まるで、自分に言い聞かせる様に、神獣は言い、木の幹に背を預けて静かに瞳を閉じた。