私(獣師)と、あいつ(神獣)
「弥生、あの神獣に、名前は決めてあるのかい?」
居間でお父さんと、私は向かい合うように座り、九ちゃんは隣に立って(神獣は、別に食べなくても生きていけるんだって!)朝食の味噌汁を飲んでいるとお父さんが口を開いた。
・・・・・そう言えば。
「・・・・。」
そうだ。
私、あの時は神獣の名前を数字にちなんで、尚且つ女の子みたいな名前にしたいと思ってたから・・・・だから、あいつを、選んじゃった訳、だったよね。
ああ。そうか。
・・・・・・ものすっごく、はしゃいでたからなぁ・・・。
ウキウキと、余計な事を考えて、思い留まって・・・・
あのまま、頭に浮かんだ数字、そのまんま言っちゃえば良かったのに。
ああ、私ってバカだ。今さらだけど。
「弥生?」
「姫様?」
お父さんと、九ちゃんに同時に呼ばれ、ようやく私は、今までボーっとしていたんだと気付いた。
「ん?そうそう、名前ね。名前は、一応考えてあったんだけど。」
「どんな名前?」
「・・・・・・零斗。」
そう言うと、お父さんは眼を見開き、驚いた顔をする。
「・・・・・れいと?」
「うん。零斗。」
私が、もう一度言うと
「そ、そうか・・・・。そうか、弥生はやっぱり・・・そうか。」
「え、何?何なの?」
お父さんは妙に感慨深く、何度も頷きそして首を横に振る。
「いやいや、立派な名前だ。とても良いと思うよ。」
「?」