私(獣師)と、あいつ(神獣)
「わぁ。」
思わず出た一言。
だって、言葉も出ないって、こう言う事じゃないの。
目の前の、私の学校の制服を着た零斗のその姿は、まさに眉目秀麗そのもの。
見なれた制服が、何故かとても格好良く思えた。
深い藍色のブレザーが、零斗の真っ赤な瞳をより際立たせている。
ボタンも数個開いてて・・・・・
・・・・・って
「・・・・・もしかして、ボタンの付け方、知らない?」
「は?何だよ、ぼたんって。」
「これ。全然留めて無いじゃん。」
「当り前だろ。こんな小さなやつ、出来るかよ。つか、帯じゃねーのか。」
なるほど。確か、零斗は「3百年ぶり位」と言っていたな。
3百年も前に、ボタンがある訳無いか。
零斗のボタンと言うボタンは全て開いていて、ほとんど肌蹴た状態だった。
見ているこっちも、目のやり場に困るし、このままの状態で出たら、零斗は間違いなく捕まるだろう。
仕方が無いので、私は零斗に手招きをする。
「もー、ほらちょっと来て。」
「何だよ。」
零斗は、憎悪を露わにして私を睨みつける。
「べつに、そのままで良いって言うのなら良いけど。」
私がそう言うと、零斗は物凄く嫌そうに、私に近づく。
「チッ・・・早くしろよ。」
警戒心を剥き出しにして、零斗は私の前に立った。
「ハイハイ。ホラ、じっとして。」