私(獣師)と、あいつ(神獣)




結局、零斗が口を開いたのは、その時だけで、それ以降はどんなに話しかけても一切無視を決め込みこちらを見ようともしなかった。


そんな事をしている内に学校が見えて来て、見知った顔の人達が多くなってくる。


通り過ぎる人は、必ずと言って良いほど、一度零斗を見てから、通り過ぎた。
女子なら零斗の顔の端整さに驚愕し、隣同士で耳打ちをして走り去り、男子ならその零斗の足の長さと、背の高さに驚愕しながらお互いに、やはり耳打ちをして歩いて行く。










「零斗は・・・・このまま、職員室に行くの?」














周囲の視線を感じながら、私は零斗に声をかけた。










「は?」






「いやだからさ、って、分かんないか・・・・。よし、私が案内してあげるから、付いてきて。」








「何処に」







「まずは、職員室って言う所に行ってね、ここの人達に挨拶をしなきゃダメなのよ。」








「何で俺様がそんな事をしなきゃなんねーんだよ。」










「郷に入っては、郷に従え、でしょ?ま、良いから付いてきて。」












零斗は、不服そうな顔で、私を見る。











「・・・・・。」













私が歩き出すと、零斗も歩き出したから、恐らく付いて来てくれるのだろう。

私は内心ホッとしながら、校門へ入って行った。




















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