私(獣師)と、あいつ(神獣)
幸い、零斗の席は、廊下側の一番端で前から二番目。校庭の窓側にある私の席とは、一番遠い席だ。
隣は余り話した事の無い、学級委員の樫葉 奈々美(かしば ななみ)さんで、後ろは美央。
あ、美央、今私の方見てピースした。
ので、私も口パクで「良かったね」と返す。その言葉を分かってくれたのか、笑顔で何度も頷く。
「えー、それでは教科書58ページを開いて。」
あ。そう言えば、零斗教科書・・・・・
私は、チラ、と零斗を見た。零斗は、どうやら樫葉さんに貸して貰うようで。
樫葉さんは、顔を赤くしながら教科書を見せている。
零斗は、教科書、と言うのが珍しいのか、食い入るように全体や中身を覗き込んでいた。
何か、近いなぁ・・・・・。
――――――ツ、キン
「ん?」
また、胸が・・・・?
イヤ、今のは、何かが違う。
何て言うか、こうモヤ―って、ギュって
痛い・・・・・?
「んー・・・。」
変なの。今日、何食べたっけ?