私(獣師)と、あいつ(神獣)
伍・前途多難
「ねーねー、弥生―。零斗君ってさ―誕生日いつ―?」
「零斗君の血液型と星座って、分かる?」
「好きなタイプってどんなのかな―?」
「どの部活に入るんだろー?」
「・・・・・・・そう言う事は、直接本人に聞けばいいと思う。」
「「「「聞いたけど無視された。」」」」
「・・・・・・・・・・・・。」
行き成り何なんだ、一体。
人がメロンパンを食べてる時に、何の嫌がらせだこれは?
簡単に状況を説明しよう。
今はお昼。
そして私は、美央と香凛、優希、理佳とお昼ご飯を食べている途中だ。
美央、優希、理佳がイスを持って来て、私の前の席の香凛が、机をくっ付けて
ここまでは、ごく普通の光景だったはず。
そして皆で、話を始めて、盛り上がって、それが、私達のお昼だったはず・・・なのに
どうやら、私以外の皆の頭の中は、零斗で一杯だったようだ。
私は、溜息を吐きメロンパンを置いて、ミルクティーに手を伸ばすが、
「ちょっと、聞いてる?弥生!
私達にとっちゃ、大問題なのよこれは!」
私の手は空を切り、代わりに理佳の手の中に私のミルクティーが入っていた。
「知ってるだけで良いから、零斗君の事教えてよ!」
艶やかな黒髪をサラリと流して、我が理佳姉さんは「ね?」と言いながら私のミルクティーを飲む。
「弥生ちゃん、お願い、少しで良いの。」
フワフワと、内向きの柔らかい茶髪を横に流して、香凛が困った様に首を傾け、
自分の顔の前で手を合わせている。
本人は至って本気で、真面目にやっている様なのだが
これが破壊力抜群の可愛さだから困ったものだ。