私(獣師)と、あいつ(神獣)
「・・・・・・っあのね、何度も言うけど、私あいつの事大っ嫌いだから、知らないってば。
知ってても、あいつの事なんて何にも知らないから。」
そう、先程からずっと、ずーっと言い続けている事なのだが、誰も信じてはくれない。
私は、零斗について本当に何も知らない。
知りたいとも思わないし、出来るなら余り関わりたくないから。
そもそも神獣に血液型とかあるのかな?
・・・・・とにかく私は
「零斗の事は、本当に何も知らないの。知りたかったら、自分で聞くしかないんじゃない?」
と言った。そして、再びメロンパンを食べ始めると
「そっかぁ・・・・。じゃ、私聞いてこようかな。もう一回。」
空色のメガネをかけた、優希は立ち上がり、高い位置で一つに纏めた茶髪を揺らして
一人で寝ている零斗の元へ向かった。
「スゴイ、ホントに行ったよ優希。」
「勇気あるよねー。・・・・私も、後で行こっと。」
「美央ちゃん、抜け駆けはずるいよ―。」
上から順に、理佳、美央、香凛。
三人とも、零斗の所へ行った優希を観察していたので、私も何気なくチラリと見てみる。
・・・・・・あ
「お―お―、一刀両断されましたな。」
頬杖をついて、気の毒そうに苦笑する理佳。
それもそうだ。
優希は近付いて、寝ている零斗の肩を揺すろうとしたら、触れる前に零斗によって手を払われ
「あっ、零斗君が・・・」
起き上った零斗は忌々しそうに優希を一瞬睨みつけ、そして・・・・
「え・・・っ!?」
優希に向かって、手を伸ばした。