私(獣師)と、あいつ(神獣)
――――人間が、この俺に触ろうとしている。
そう理解した瞬間、酷く真っ黒で、真っ赤な感情が俺の心を覆い、
良く分からないまま、激しい殺意だけが目の前の人間に沸いた。
そして、俺の頭の中に只一言、浮かんだ。
殺して、やる。
「・・・・・・っ!!」
咄嗟に、手が伸びて目の前の人間の顔を、手で視界から消す。
その瞬間、あいつが人間の前に立ちはだかった。
俺は、驚き、思わず
危ない
と、言いかけ、でも身体の方が早くて
そして、小娘の顔を、俺の手が覆い尽くしていく。
小娘が、俺の手で覆い尽くされようとした時、
何故、そう感じたのか分からない
その感覚が、何なのか分からない
でも、俺には確かにその時
激しい後悔と、哀しさでどうしようもない気分になった。
「っ弥生!!!」
ガシャアアアンン!!!!!!
――――――――ああ、やってしまった・・・・・・。
やけに、ゆっくりと、傾いて倒れていくあいつに、俺は他人事の様に思った。
そして、俺の意識は、何を思っていたのか分からないが
そのまま伸びていた手をさらに、伸ばし切り、倒れた小娘の体を引き寄せた。