私(獣師)と、あいつ(神獣)
「では、薬を取って参りますので、くれぐれも大人しく寝ていて下さいね!」
ビシっと、指をさしながら、九ちゃんは出て行った。
「あー・・・・もう。九ちゃんってば大袈裟過ぎ。熱が有るかどうかも分かんないのに・・・・・。」
天井を見上げながら、さっきの九ちゃんの様子を思い出して思わず笑ってしまう。
九ちゃんは、昔からそうだった。
私が、ちょっと転んだだけでも、私より痛そうな辛そうな表情をして、オロオロして、お陰で、私の方が痛くて、泣きたかった筈なのに、九ちゃんのその様子に呆気に取られて、涙なんかちっとも出なかったし、逆にその時も笑ってしまった。
私が、風邪を引いた時だって、四六時中傍に付いててくれて、夜も九ちゃんは寝ずに、正に私に付きっきりだった。
私の事を、私以上に心配して、気遣ってくれてる九ちゃんが
「大好き、だなぁ・・・・・。」
・・・・・・・って、私、何一人でにやけてそんな事言ってるんだろ!
顔から火が出る位恥ずかしくなって私は、頭から布団を被り直す。
と、トントン、と扉を叩く音が。
「はーい、どーぞー。」
「姫様、お薬をお持ち致しました。少し、起きて貰ってよろしいですか?」
九ちゃんが、お盆に水とカプセル状の薬を持って来てくれた。
「失礼致します。」
私の背中を、手で支えて、九ちゃんが起こそうとした時
「いた・・・っ。」
背中に、一瞬だけ、痛みが走る。