画面越しの恋人
「どうしたんだ? こんなところに呼び出したりして」
窓の外を眺めたまま、室内に入ってきた気配に声をかける。振り向く必要などなかった。すべてが予定通りなのだから。
「孝太くんに伝えたいことがあって……」
この半年でボクたちの呼び名は名字から下の名前へと変化していた。
ゆっくりと振り向くと、耳まで赤く染めた芳野麗子が泣きそうな顔をしてボクを見つめている。次の言葉を彼女が放つのを、ボクはいまかいまかと待ちわびていた。
「わたし、孝太くんが好きなの……」
震える手を胸に当て、消えそうな声でそう言う芳野麗子。どんなシチュエーションでなにを言われるか分かっていたが、ゲームのなかのキャラクターに言われるのと実際の想い人に言われるのとでは重みが違う。
身体中の血がドクドクと脈打ち、いままで味わったことのない幸福感で卒倒しそうになる。なんとかそれを堪えてボクは静かに彼女に歩み寄った。
窓の外を眺めたまま、室内に入ってきた気配に声をかける。振り向く必要などなかった。すべてが予定通りなのだから。
「孝太くんに伝えたいことがあって……」
この半年でボクたちの呼び名は名字から下の名前へと変化していた。
ゆっくりと振り向くと、耳まで赤く染めた芳野麗子が泣きそうな顔をしてボクを見つめている。次の言葉を彼女が放つのを、ボクはいまかいまかと待ちわびていた。
「わたし、孝太くんが好きなの……」
震える手を胸に当て、消えそうな声でそう言う芳野麗子。どんなシチュエーションでなにを言われるか分かっていたが、ゲームのなかのキャラクターに言われるのと実際の想い人に言われるのとでは重みが違う。
身体中の血がドクドクと脈打ち、いままで味わったことのない幸福感で卒倒しそうになる。なんとかそれを堪えてボクは静かに彼女に歩み寄った。