画面越しの恋人
 不安げにボクを見つめる芳野麗子をそっと抱き寄せる。あっ、と小さく息を漏らし、彼女の美しい肉体はボクの腕のなかに収まった。
「嬉しい。ボクも麗子が大好きだよ」
 彼女の鼓動が密着した体から伝わり、ボクを興奮させる。欲望に任せて行動しそうになる自分自身を必死に食い止めた。余計なことをしては駄目だ。ゲーム通りに行動しなくては。
 彼女がおずおずとボクの背中に腕を回す。
「本当……? どうしよう孝太くん。わたし、いま、すごく幸せよ……」
 ゲームのエンドロールを見つめながら、昨日ボクは約束された明るい未来に声をあげて喜んだ。そして芳野麗子はいま、ボクの腕のなかにいる。
 ボクのことを気にも留めなかったクラスメートに見せつけてやりたかった。彼女の美しい笑顔も、中学生とは思えないほど成熟した体も、これからはボクのものだ。全部全部、ボクだけのものなのだ。
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