画面越しの恋人
 グラフィックを見る限り主人公は学校の図書室にいるらしい。そこにやって来た「よしのれいこ」が声をかけてきた。
『よしのれいこ:やっぱりありむらくんだ。昨日はありがとう』
 前日の礼から始まり、ふたりの話題は探している本へと変わる。画面のなかの彼女に、なにかおすすめの小説はないか尋ねられた。
「困ったなあ」
 ゲームには精通しているが、文学には詳しくない。選択肢のなかの小説はどれもタイトルくらいしか分からなかったが、とりあえず外国人作家が書く有名な探偵シリーズを推すことにした。
 ありがたいことに、その項目を選択すると主人公が勝手に小説の魅力を語り出した。「よしのれいこ」はそれを熱心に聞いている。ゲームの主人公が話す内容をボクも懸命に頭に入れた。
 予想通り、「よしのれいこ」との会話が終わったところでゲームはまた動かなくなった。
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