《Mimics》
「あなた、ちょっと待ちなさい」
人間の女に呼び止められた。
ぴたっと歩みをとめ、後ろを振り向く。
やはり、さっきこっちに来ようとしていた、若い女だ。
口を開きゆっくりと、だが、しっかりとした発音で答える。
「何か?」
鋭く相手をにらむ。
いちいち相手をするのは、面倒だったのだ。
もしくは、人間のような下等生物とする話などないと思っていたのかもしれない。
心のどこかで。
だが、女は眉と眼を吊り上げ、人間が見たら美しいと言うであろう顔を見事に歪め、透き通る様な声で怒鳴ってきた。
「何か、じゃないわ!!あなた、その髪は何なの?ドレスの下にぺティコート着ていないでしょう?」
「?」
「どこにすんでいるのよ、あなた?言いなさい」
女の話はまだ続く。
私は女のあまりの剣幕に、呆然と立っていることしかできない。