《Mimics》
「見た限り、馬鹿者というよりは、世間知らずって感じね?もしかして、貴族なの?」
「??」
「無視したって駄目よ。私にあなたの家を教える気がないのなら、ちょっとついてらっしゃい」
私は何が言われてるのか、さっぱりわからなかった。
女があまりにも早口だったからだ。
女の髪は、そのまま流している私と違い、丸く丁寧にまとめられている。
さっきの女の言い方からして、女の髪の様に結えばいい、ということだろうか?
その方が、人間らしいのかもしれないが‥‥。
「‥‥」
「何しているの?早く来なさい。すぐそこなんだから」
「え、ええ、わかったわ」
私は女についていくことにした。
一応、『ここ』について知っておく必要があるし。
広場の者たちは、またか、とでも言うように呆れ気味の顔で私たちを眺めていた。
女が足早に歩いていく。