《Mimics》
「オペラ?」
「そういえば、ドレスの方もどうにかしないといけないわね」
女は怒っているような口調なのに、顔は笑っていた。
歩き出す女と私。
いや、セリーヌだっけ、この女の名は。
セリーヌが前を向きながら私に言う。
「ディーヴァ、あなたって面白いわね」
なんだそれは。
今までの言動のどこが、面白いと言うのだろう。
セリーヌが振り返る。
目の前にある、レンガ造りの大きな家を目で指し示す。
「私の家よ」
セリーヌが言う。
赤いレンガ、大きな窓、緑の整備されている庭、3階建てにも見える2階建て。
金持ち、というヤツか。
セリーヌが曇り窓がついていて、白く大きな扉に手をかける。