《Mimics》
ガチャリ、と音を立てて開く扉。
セリーヌがスタスタと中へ入っていく。
私はそのあとに続く。
人間なんて、興味もない。
なのに、何故ついてきたのだろう。
‥‥『ここ』に留まるためだ。
『ここ』に留まるために必要な掟を守るため。
「ようこそ、我が家へ。ディーヴァ」
セリーヌがこちらを振り向き私に言う。
「‥‥これは」
広かった。
私達の何倍もの高さにある天井には、ガラス出来た大きなシャンデリア。
両方の壁を見ると、それぞれ2つずつ、左右に開く扉が備え付けられていた。
そして、棚の上においてある、花瓶の色とりどりの花。
目の前には、7,8メートルの幅はあると思われる、真っ赤な絨毯が引かれた階段。
2階には何部屋もあるらしく、奥へ廊下が続いていた。
私達と階段の間の広い床には天使をモチーフにした大きな一枚絵。
そこに手を腰にあて、立っているセリーヌ。