《Mimics》
「ディーヴァ、突っ立っていないでさっさと行きましょ?」
「え、ええ」
セリーヌに言われ、階段を上がっていく。
せりーヌは、ドレスを引きずらないよう、手で持ち上げている。
と、そこへ
「セリーヌお嬢様!!いつの間に屋敷の外へっ‥‥その方は誰です!?」
白と黒の裾が足元まであるメイド服を着た少女が現れた。
階段を勢いよく駆け上がってくる。
階段に隠れていた、奥の部屋から出てきたらしい。
セリーヌより2、3歳若く見える。
おそらく17、8歳だ。
最も、今の私の外見はセリーヌより下のはずだから、この少女と同じぐらいの年齢になる訳だが。
そこではっと気がつく私。
さっき、セリーヌのことは“女”と呼んでいたのに、この人間のことは、“少女”と呼んでいる。
私は、自分が人間を認めつつあることに気がついたのだ。
だが、それが何だと言うのだろう。
人間と言う存在を認めようが、認めまいが、私にさして変化はないのだから。