《Mimics》
「アレクシア。この方は客人、ディーヴァ・フェレオル様」
セリーヌの口調が、今までとは少し違った。
貫禄が出ているのだ。
アレクシア、と呼ばれたその少女は、私に向かって初々しく一礼する。
「ようこそいらっしゃいました。ディーヴァ様」
「いえ、こちらこそ。突然すいませんわ」
「ディーヴァ、口調が変わってるわよ?」
セリーヌがびしっと指摘してくる。
先ほどまでの貫禄はもうない。
今は、気品があるただのお嬢様だ。
しかし、今の指摘はもっともだ。
一瞬、うっときた。
「セリーヌ様!!客人になんてことを言うのです!!立場をわきまえなさいっ」
「アレクシアこそ、私になんて口をきくのよっ」
「まあ、セリーヌ様。あなたはまだ、一人前にもなっておりませんことよ?私がそんな口をきくも何もありませんっ!!」
「あなたの方が年下でしょう!!」
「年齢は関係ないですわっ!!私より老けているお嬢様!!」
「何ですって!?アレクシア、今回はあなたがメイド役をやりたいからって‥‥」
「セリーヌ姉様の馬鹿っ!!何を言ってるのです!!」
今まで、2人の喧嘩を呆然と見ているしかなかった私は、今の会話を聞いた瞬間はっとした。