《Mimics》
2人がすくっと椅子から立ち上がった。
アレクシアのハーフアップにした長い黒髪と、セリーヌのまとめた金に近い茶髪がゆれる。
この2人、身長はさほど変わらないようだ。
年もそれほど離れていない。
160cm前後か‥‥私より大きい。
そのまま、窓際まで行く2人。
『セリーヌお嬢様!!いつの間に屋敷の外へっ‥‥連れてきた客人は誰です!?』
1階から良くとおるアルト声が聞こえてくる。
さっきのアレクシアとほとんど同じ台詞だった。
もしかして、この声の主がリゼットなのだろうか?
セリーヌが窓際に置いてある、大量のカーテンをいじくりながら言う。
「見つかってしまったわね‥‥ならばっ」
「セリーヌ姉様、大人しくしておりませんか?」
「あら、妥協なさるの?私、ディーヴァの髪型や服装も直してあげると言ったのよ?」
「確かに、ディーヴァ様の格好は直して差し上げたいけれど‥‥ディーヴァ様には、一度帰ってもらうか、隠れてもらわなくてはなりませんわ」
「?」
2人は、リゼットから逃げるとか、私を帰すとか言っているようだけれど、私には何の説明も無し。
1人椅子に座ったままの私は、2人を見つめていることしか出来なかった。