《Mimics》

リゼット、だ。

壁に寄りかかりながら扉を見つめる。

ガチャガチャと回るドアノブ。

自分の心拍数が上がっている気がする。

これはなんだ?


『扉を破ってもいいのですかっ?』


その瞬間、ドアノブの動きがぴたりと止まった。

はっとした顔になるセリーヌ。

セリーヌがぱっと扉の前に飛び出て、鍵をガチャリと開けた。

ニヤニヤ笑いながら、私達のほうに飛ぶように戻ってくる。


「うふふふっ‥‥」


横を振り向くと、アレクシアも笑っていた。


『はっ!!‥‥ああっ!?』


掛け声とともに、扉が勢い良く開く。

リゼットと思われる人物の足が見える。

蹴りだ!!

が、リゼットのその蹴りは、セリーヌが扉の鍵を開けてしまったために、力の行き場を失っていた。

そのまま前のめりになるリゼット、と思われる人物。

足を踏み出し、踏ん張る。
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