《Mimics》
「リゼットさんって、背が高いね」
「はい、そうですわ。それにリゼットにはメイド服が良く似合うんですのよ」
「でも、リゼットは着たくないって言うのよねえ」
さっきリゼットを閉じ込めたセリーヌの部屋の目の前、アレクシアの部屋で私達は椅子を並べ、話していた。
2人はリゼットを部屋から出す気はないようだ。
当然と言えば当然なのだが‥‥。
「着たくない?でも、リゼットさんは貴方達の使用人でしょ?」
「まあ、しょうがないですわ。メイド服を着たのも、姉様がいじめてただけですし」
「あら、失礼ね。あれはゲームに負けたリゼットへの罰ゲームよ」
「ゲーム?」
「ディーヴァ様がさっきご覧になった、あれですわ」
あれがゲームだったのか‥‥
さっきのいたずら。
私は始めてのことだらけで、その火薬まで持ち出してきたこの2人に、翻弄されっぱなしになっていた。
そのため、リゼットの姿は見えたのだが、短い金髪の背が高い人ということしかわからなかった。
思い返してみると確かに、彼女はメイド服を着ていなかった気がする。
この家の当主の娘たち(たぶん)専属なのだから、普通はメイド服だと思うのだけど‥‥