《Mimics》

「‥‥お嬢様方、客人の前ですよ‥‥ごほっ」


私の後ろから声が聞こえてきた。

驚いて後ろを振り向く。

見ると、火薬のせいか、転んだせいか、右の袖が裂けている。

黒いスーツ姿の背の高い少女が立っていた。

‥‥ん?

‥‥少‥‥女?


「リゼット!!部屋から出てきたのね」

「お見事‥‥。あれぐらい何でもないということですの?」

「‥‥もう二度と火薬などお使いにならないように。けほっ」


平然と答えるリゼット。

短い金髪が、転んだせいで少しぐしゃぐしゃになっていた。

それよりも、今、私の中で大きな疑問が浮かんでいる。

確かめたいのだが、3人とも話し込んでしまっているし、当の私は混乱状態。

誰か、気づいてもらえると助かるのだが‥‥。


「火薬を持ってきたのは私じゃないわよ」

「とりあえず、今回は引き分けですわね」


セリーヌの言葉を無視し、こちらも平然と答える。
< 28 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop