《Mimics》
「‥‥お嬢様方、客人の前ですよ‥‥ごほっ」
私の後ろから声が聞こえてきた。
驚いて後ろを振り向く。
見ると、火薬のせいか、転んだせいか、右の袖が裂けている。
黒いスーツ姿の背の高い少女が立っていた。
‥‥ん?
‥‥少‥‥女?
「リゼット!!部屋から出てきたのね」
「お見事‥‥。あれぐらい何でもないということですの?」
「‥‥もう二度と火薬などお使いにならないように。けほっ」
平然と答えるリゼット。
短い金髪が、転んだせいで少しぐしゃぐしゃになっていた。
それよりも、今、私の中で大きな疑問が浮かんでいる。
確かめたいのだが、3人とも話し込んでしまっているし、当の私は混乱状態。
誰か、気づいてもらえると助かるのだが‥‥。
「火薬を持ってきたのは私じゃないわよ」
「とりあえず、今回は引き分けですわね」
セリーヌの言葉を無視し、こちらも平然と答える。