《Mimics》
・2日目
玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らした。
そうするのが人間の「マナー」というものらしい。
鍵を開ける音がし、右側の扉が奥の方へと動く。
その隙間から、セリーヌがひょっこりと顔を出してきた。
「ああ、やっぱりディーヴァ!私が出てよかったわ!それにしても早すぎっ」
可愛らしく頬を膨らませ、綺麗な青色の瞳でこちらを睨みながら言った。
まるで、私がきたのが迷惑みたいな言い方をするな、と思い、わずかに眉をよせる。
お前が来いって言ったからだろ、とは言わなかった。
「セリーヌが来いって言ったから来たの」
‥‥言わなかった。
だが、予想と反して彼女は私との再会を喜んでいるようだった。
なぜなら、彼女が私にいきなり抱きついてきたからだ。
「うれしいわ!」
私がわずかによろけると、私の体を彼女は右手でつかみ、引き寄せた。
私たちも嬉しいことがあれば、そういう感情表現をする。
だから、彼女が抱きついてきたことには、私に好意があるのだろうか?少なくとも敵意はなさそうだ‥と冷静に分析をしていた。
セリーヌはすぐに私から離れ、手を差し出してきた。
「さあ、どうぞ家に入ってくださいな!」