†Bloody Cross†
蒼の言葉と共に、首筋に感じていた剣の冷たい感触が鮮明によみがえる。
別に、初めて剣を突き付けられたわけじゃない。
殺意を向けられたのだって、初めてじゃない。
蒼に言われなくても、自分の命が狙われやすいのなんて分かってる。
でも、さっき蒼が俺に向けた殺気は他の誰よりも身に響いたっつうか……痛かったし、正直多少驚いた。
曖昧な記憶がそれを憶えていなくても、身体がすべてを鮮明に憶えている――――……
だからこそ、さっきの現実味の無いことが夢では無かったんだと思う……
隣の席にいる蒼に視線を向ける。
蒼は何事も無かったように、窓の外を流れる雲を見つめていた。
蒼はほんとに魔術族の姫なのか?
まだ首筋の刻印を確認してないから確証はない。
でも、さっきの時を止めた力はどう考えても、普通じゃねぇ。
まぁまた放課後、蒼に聞けばいいだけの話だ……