†Bloody Cross†
「きゃ〜っ、誰あの子?!すごいかわい〜」
「しかも永遠くんと話してる?!やっぱり"類は友を呼ぶ"って本当なのねっ!!」
耳障りな声に俺は顔をしかめる。
俺の隣で彼方は、笑顔で女たちに手を振っている。
そのせいで他の女たちも騒ぎはじめ、俺は眉間の皺を更に深くした。
はぁ、うるせぇ……。
視線を女たちと彼方から逸らすと、窓際にある蒼の席が視界に入った。
いつの間にかそこに蒼はいなかった。
さっきチャイムなったばっかりなのに、もう教室内のどこにも姿が見当たらない。
「あのっ!彼方くん、永遠くん……2人がよかったら一緒にご飯食べない?」
教室内にそれとなく視線を廻らせていると、少し震えているか細い女の声が聞こえてきた。
そちらを見れば、ジーっと俺らを見つめる少女がひとり。
彼方はその姿を見ると、楽しそうに俺を一瞥する。
「ほんと?食べるっ!!」
「なら、俺も一緒に食う」
「やったぁ!!」
何も知らずに喜ぶ少女が、いっそ哀れになってくる。
同情はしねぇ……これは自分のためで、こいつらは餌だからな――――……