†Bloody Cross†
"3人でゆっくりできるところ"……か。
彼方の言葉にフッと笑いが込み上げる。
何も知らない少女は、何かを期待してか頬を染めながら俺に話し掛けてきている。
それを軽く受け流しながら周りの風景を見やれば、いつの間にか木々ばかりの校舎裏に来ていた。
「ここら辺でいいかなぁ……」
「えっ……?ここで食べるの??」
彼方が突然立ち止まりそう呟くと、少女は自分が居る場所がどこかを初めて理解したようで、驚きの声をあげた。
「うん。だって僕、お腹空いちゃったし……それにここなら誰も来ないでしょ??」
彼方は無邪気で狂喜的な笑みを浮かべる。
彼方の突然の雰囲気の変化に、肩をピクリと震わせ後退る。
彼方から逃げるように後退ったため、俺に背を向けたまま近づいてくる。
「確かに、誰も来ないだろうけどッ……」
「俺も居ること、忘れないほうがいいぜ??」
「……っ!!離してッ!!」
近づいてくる細い肩に逃げられないように腕を回すと、甲高い叫び声をあげる。
「そりゃ出来ねぇな。あんたから食事に誘ったんだ……俺らの"食事"にも付き合ってもらうぜ?」