†Bloody Cross†
白夜が俺の視界から消えると共に、近くにあった蒼の気配も元から何も無かったかのように消えていた。
それは単に俺が気配を感じられる範囲にいなくなったのか、久々の力の解放で俺の身体がついていかないのか……
「ッ、はぁ。せっかく吸血したってのに、今ので完全に帳消しになったな……」
さっちまで軽かった身体が次第に重くなっていき、俺は近くの木に身体を預けるようにもたれかかる。
いつの間にか湧き立っていた血は落ち着きを取り戻し、瞳の色も紅から漆黒に戻っていた。
さっき自ら傷をつけた自分の左掌を見てみれば、傷は完全に塞がり溢れでた血だけが大量についている。
「くっ!!……ッ、はぁ。帳消しとかいうレベルじゃなかったみてぇだな……」
フワリと香る自分の血の匂いだけで俺の身体が大きく脈打ち、喉が渇く。
さっき量を抑えて飲んだのが悪かったのか、ほんの少しの力の解放で簡単に身体が血を求める。
今、人間の血の充満する教室に戻ったら、やべぇな……