†Bloody Cross†
蒼に次は無いどころか"容赦無く殺す"って言われたばっかなのに、すぐに吸血したら何されるか分かんねぇし……。
ましてや自分の血の香りでも身体が疼くような状態の時に、まともに闘えるわけがねぇしな……。
「仕方ねぇ、か」
気だるく重い身体を無理矢理動かしながら、俺は自分が来た方向とは逆の道に歩を進める。
身体が血を求める……でも血の補充が出来ねぇなら、俺が人間から離れるしかねぇよな……。
そんな事を考えながら向かうは、陽の高いうちから闇に包まれた木々の奥深く。
歩きながらさっき会った、狐姿の白夜の事を思い出す。
蒼が魔術族かもしれないという可能性に加えあの強さと、同じく強大な妖力を持った仲間の存在。
「今はまだ、真っ向からやり合う時じゃねぇって事か……」
力の解放でやっと対等に闘える相手だったってのに……その力の解放を使ってすぐこれじゃ話になんねぇ。
どうにかして短時間で力をつけねぇと――――……