†Bloody Cross†


「ん……??この音……」






――――カチッカチッカチッ……






重い身体を引きずるように歩いていれば、学園から離れるにつれて懐かしく感じる旋律が聞こえてきた。

どのみちこんな状態じゃ教室に戻れねぇんだし、この時計が時を刻む音がどこから聞こえてんのか気になるし……。

少し探してみるか……。






――――カチッカチッカチッ……






歩を進めるごとに確実に大きくなる音が、向かっている方向にナニカがある事を示している。

幸い俺が歩いている木々に囲まれているここは、昼間なのに陽の光が届かない場所だ。

ヴァンパイアもいくらか進化を遂げ、陽の光を恐れずに生きていけるようになった。

それでも光は微弱なりとも、俺達から体力を奪っていく。

どんなに生きて、陽の光が平気になったとしても俺達はやっぱり闇の住人なわけだ。

その証拠に、力の解放をした場所よりも深い闇の中に長時間いた俺の身体は、体力を取り戻しつつある。

喉の渇きはどうしようもねぇけど……。


「ん……??くっ!!」






――――カチッカチッカチッ……






薄ら明るくなった視界の先、目も眩むような光の中に、突然時を刻む黒い影が視界にうつった――――……


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